住宅街を駆ける2頭の馬
毎年11月3日(文化の日)に、山北町の室生神社で例大祭が開催されます。
一番の注目は、先導役(先馬)と射手役(後馬)の2頭の馬が駆け抜ける「流鏑馬」です。
神奈川県指定の無形民俗文化財に指定されていて、毎年大勢の人が見に来られます。

2頭立ての流鏑馬は、先馬の先導役が的に近づくと軍扇を揚げて露払いをし、続く後馬の射手役が3つの的を順に射ながら馬場を走り抜けます。
3回騎射すると、先馬と後馬が交代して、計5回の騎射が行われます。
この流鏑馬は、山北町山北の宮地に所在する室生神社に伝わるもので、起源は源頼朝の石橋山挙兵の際、平家方に味方したため領地を没収され、斬刑に処されるところであった河村義秀(かわむらよしひで)が、鎌倉の鶴岡八幡宮で行われた流鏑馬の妙技により刑を免ぜられ、旧領に復帰できたという故事(『新編相模国風土記稿』『吾妻鑑』)によるとされています。
義秀は、旧領に復帰できたことを神様の加護と感謝し、神社の祭礼に流鏑馬を奉納するようになったのが始まりと伝えられています。

故事では鎌倉で流鏑馬が行われたのは建久元年(1190年)と記されているので、義秀が旧領に復帰した以降に「室生神社の流鏑馬」が始まったと考えると、約800年余りの歴史のある神事という事になります。
農家の人々により受け継がれていた時期もあり、かつては的の当たり矢によって翌年の稲作を占う神事としても行われました。
三つの的は、一の的が早稲、二の的が中稲、三の的が晩稲のできをあらわし、的に多く命中すると次の年は豊作になるとされています。
現在では、山北町で生まれ育ち、現在も居住している氏子が騎乗者を務める珍しい流鏑馬です。
騎乗者は本番の約1週間前から厳しい精進潔斎を行うなど、古くから伝わっているしきたりや儀式が大切に守り続けられています。
流鏑馬が行われる馬場は、室生神社の参道で、長さが約340メートルありますが、普段は舗装路なので本番前日、自治会が協力して1日がかりで砂を敷き詰め、終わったら砂を撤去しているそうです。
住宅街の中にいる違和感と、参道のすぐ脇から間近に見る迫力とが合わさって、とても印象深い行事でした!
電車の場合
・JR御殿場線「山北駅」下車 徒歩10分
・小田急線「新松田駅」下車 富士急湘南バス「山北駅」または「岸入口」バス停下車 徒歩5分~10分
※JR御殿場線では「スイカ」や「パスモ」などのICカードが利用できません。出発駅で切符をお買い求めください。
※室生神社には駐車場がありません。公共交通機関をご利用ください。